天使になった日

“Ciao Tomoko, purtroppo volevo darti una bruttissima notizia…..”
ナポリに住むPasqualeからのメッセージはこんな冒頭で始まった。瞬間的に何のことかすぐに見当がついたというか、確信があった。それは誰もが考えたくなかった悲しい事実。
私たちの大切な友人、ジョルジョが天使になってしまったのだ。
昨年2月28日にジョルジョはガンの治療にために日本を訪れ、何かの縁で彼は兵庫県にある粒子線治療をする施設で治療を始めた。そしてまた何かの縁で私たちはジョルジョと友達になった。
ジョルジョはとにかくSimpatico(フレンドリー)で、初対面とは思えないくらい、そして私がイタリア語を理解してようがしていまいがとにかく人なつっこくいっぱいナポリ弁をしゃべった。
それからジョルジョを通じてたくさんの人に出会った。彼を通じて出会う人はイタリア人であろうと日本人であろうと素晴らしい人たちばかりだ、でもそれは不思議なことではない、だってジョルジョだから。
彼が日本にいた約4ヶ月、みんなでジョルジョとご飯に行き、飲みに行き、美味しいナポリピザのお店に行き、サルサレッスン、ピクニック、奈良観光そして病院にも一緒に行った。
ある時、ジョルジョがイタリア語しか話せない自分が日本で高額治療をすることを決めたきっかけを話した。いろんな奇跡が起きて同じ病気でなくなったマリアに導かれたと聞かせてくれた。亡くなったマリアのところに何度かお墓参りに行くのだけど、そのたびに涙が止まらなくなると言ってその時もジョルジョは涙を流した。
日本での粒子線治療はうまくいき、昨年の7月初旬に彼はイタリアに帰った。
それから少し時が過ぎ、ジョルジョの体に新たなガンが見つかったと聞かされた。ショックだった、でも本人はもっとショックだっただろう。
私は12月にイタリアに行く機会があったが、彼の状況を考えるとナポリまで行けなかった。
そしてその2ヶ月後、ジョルジョは天使になってしまったのだ。
彼の礼儀の正しさは日本人のようだった、いやそれ以上かもしれない。そして彼はとにかく誠実だった。
私はジョルジョと友達になって、そして彼をとりまくたくさんの人たちから改めてその大切さを学んだ。
人生っていろんなことがあって余裕がなくなって時として人を大切に思う気持ちや誠実でいることを忘れてしまいそうになる。でもどんな時でもその大切なことを忘れないでいようと心に刻んだ。
悲しい話になってしまったが、ジョルジョとみんなと共有できた時間の中には常に笑いがあったということも忘れてはいけない。そう私たちはとにかく楽しんだ、みんなでいっぱい笑った。
ジョルジョが日本に来てくれて、そして友達になってくれたことに心の底から感謝している。

Giorgio, sei e’ grandissimo!!! Ti voglio tanto bene. Grazie mille e un bacione da qui.